
良書というのは、えてして読みやすいもの。
転職のためのハウツー本をしばし閉じて、自分の立ち位置を俯瞰し、「長くよく働く」ということについて考えてみようとするとき、ぜひ手に取りたい1冊です。今後の働き方のキーワードが散りばめられています。
マルチプル・ワーカー 「複業」の時代 – 「複業」の時代
- なぜ今、「副業」なのか – 1つの会社に人生を任せるリスク
- 副業の「種類」と「実態」 – 社外でスキルを磨く新しい働き方
- 「複業」を促す新しい概念 – 未来を生き抜く鍵は、多様性と開放性
- 「複業」の事例研究 – 人と組織はどう変わるか
- 「複業」の意義 – 会社に支配されないキャリアの選択肢
- 「複業」の意義 – 文化・制度・価値観
- 【提言】「マルチプル・ワーカー」 – 個人と企業に win–win を築くために
社員の副業解禁を考える管理者・経営者、副業に関心を持ち始めたビジネスパーソン必読の書!
副業解禁、人手不足経済、人生100年時代、AI(人工知能)…これからの時代、人と企業はどう変わっていくか――。
ロート製薬、ソフトバンク、サイボウズ、エンファクトリーなど副業を解禁した企業事例や、副業を行っている個人の事例から、副業の条件や課題を浮き彫りにする!
また、副業の有効性を指示する研究や新しい概念を豊富に紹介。 ・副業を成功させる3つの条件「will×can×environment」 ・企業にとって副業は「現金流出のない人材確保政策」 ・副業を解禁しない企業のリスクは? ・未来を生き抜く鍵は「多様性と開放性」… etc.
様々な角度から「副業」をとらえた画期的な1冊!
「マルチプルワーカー」という言葉、超しっくり。
マルチプルに働く、だれもが複業をする、というのは、SF的でも対岸の花火でもなくて、それほど先のことではない未来の、私たち自身の【ハタラク】の話。
マルチプルワーカーを、例えば、超高齢社会2.0 – クラウド時代の働き方革命(檜山敦)のいう【モザイク型】という考え方にハメてみましょう。
テレワークやラウドソーシングを採用して、シニアの力を【モザイク型就労】で次世代の日本の戦力にする
超高齢社会2.0 檜山敦
時短ワークをつなぎ合わせる時間モザイク、足腰が弱くなってもテレワークで働く空間モザイク・経験値を持ち寄るスキルモザイクなど、様々なモザイク型就労が考えられますが、経験値を携えた中高年マルチプルワーカーとの相性、かなり良さそうです。
マルチプルワーカーの40代50代60代70代が、モザイク型就労で日本の労働力を支える、という未来が見えて来ますなー。
もちろん、我々は我々のために働くわけであって、日本のために働くわけではないのですから、まずは、マルチプルワーカーをモザイク型に受け止める制度ができていなければなりません。
雇用制度の「週20時間」の解釈。
現状、1社で20時間以上働かないと雇用保険の対象になりません。しかし今厚生労働省は「全部で20時間」を検討しています。
つまり、複数の企業でマルチプルにモザイク型で働いても週20時間とみなし、雇用保険の対象になる、可能性が濃厚。
Check! 複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する検討会報告書厚生労働省これが実現すれば、間違いなくこれからの働き方が変わるでしょう。会社という村の時代から、個々の村人の時代になる。中高年だけでなく、もちろん若者にとっても大きな変化です。
そうなると、それこそ「個人事業主として仕事を受注する」のではなく、「複数企業と雇用契約を結ぶマルチプルワーカー」がかなりお得になります。

私も考えねばです(笑
複業4形態。複業、副業、幅業、伏業。

- 伏業:会社に伏せて行う内職やアルバイト。複業への滑走路と考えればアリ。
- 副業:いわゆる副業。コンビニや警備など、肉体労働系という位置付け。
- 幅業:いわゆるプロボノ。
- 複業:起業など、収入もケイパビリティ(納涼・スキル・ネットワーク等)も高い仕事。
4つのカテゴリについては、こちらでより詳しい説明が読めます:
Check! 副業解禁の「成否の分かれ目」は? - 社員と会社が陥りがちな落とし穴ダイヤモンド Online本書では、収入もケイパビリティも高い右上の一角を「複業」としていて、主にこのカテゴリに属する「複業者」について話が進んでいきます。
でも実際、みんなが全員右上カテゴリに入れるか? といえば、入れませんよね。。。
というわけで、まだ私は「体力的・能力差異的なことを考えると、中高年には安易に複(副)業を進められない」と考えていますが、、、

もっともっと勉強して、私なりの結論とゴールと提案をみつけたいと思います。
中高年も、キャリアの選択肢を持とう。
40代50代の我々なら、今からでも十分間に合います。意識してキャリアの選択肢を広げていきましょう。
最後に。
副業を本業への収入の補完と考えていると見えてこないが、副(複)業を企業への滑走路と見ると、見えて来るものがある。
本書最終章より
と著者は言います。滑走路って発想、イイネ! でも、滑走路の先の空はそれぞれ。「起業」でなくてもいい。
それぞれが「よりよく働く」形を考えながら、滑走路を転がっているつもりでいきましょう。ローリングストーンズや。