
サラリーマンであれ、個人事業主であれ、「転職」を意識したことがない人はいないと思います。
しかし40代・50代ともなれば、転職に対する具体的なステップを踏み出すことにためらいが出てくるのも事実です。
転職活動をしてみても条件のいい転職先はぐっと減りますし、今の会社を辞めてでも転職したい、と思えるような業務内容・収入が確保されている会社は少ないからです。
転職すると年収が減る気がする…「生涯年収」の視点を持ってはいかが?
年収が減るリスクは、40代以上の転職希望者の足をすくませます。

国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、50代前半の男性平均収入は約680万円。このあたりが年収のピークで最高額です。
その後は、年を追うごとにゆるやかに年収は減っていき、定年間近の60代前半(定年が65歳とした場合です)には、約500万円。
年収500万円を多いとみるか少ないと見るかには個人差がありますが、60歳を過ぎても500万円の年収があると思えば、なかなか転職には踏み切れないかもしれません。
それなら、いっそ転職をしないほうがいいのか?
いえ、転職後の収入が最大の心配事なら、「生涯年収」という枠組みで、自分のこれからの収入について考えてみませんか?
40代・50代の転職こそ、退職金も含めた「トータル収入」で考える
「生涯年収」とは、1人が働ける期間内に働いて得る賃金の累積額を指す言葉です。文字どおり、一生涯のお給料総額ということから「生涯給与」などとも言います。
もちろんサラリーマンだけでなく企業をしている個人事業主などの収入も累積して「生涯年収」といいます。
40代・50代で転職を考えている人は、毎月のお給料額だけにこだわらず、生涯年収という大きな枠組みで収入を計算する必要があるでしょう。
一般的には「新卒で入った会社で、定年まで勤めあげる」のが、生涯年収を高める最適な方法だと言われます。
あまりにも夢のない話ではありますが、生涯年収には「毎月のお給料+ボーナス」の年収額では、はかり切れない要素があるからです。それは「退職金」。

厚生労働省管轄の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が統計を取っている「ユースフル労働統計2018」を見ると、45歳で転職した場合の定年時の退職金は、以前の会社でもらえるはずだった金額の半分にすぎない、という数字が出ています。
45歳大卒・大学院卒の場合で、退職金減少率は48.8%です。

ちょっと、ショッキングな数字ですね。
これには理由があって、多くの企業では、退職金は勤続年数が約20年を超えたあたりからドーンと増額されるからです。
大卒の場合、22歳で就職してそこから20年。ちょうど40代前半が、退職金増額時期のスタートです。
これから退職金が増えるという時期の手前で転職するのですから、もらえる金額はまだまだちょっぴり。
しかも転職先ではこれまでの勤続年数はカウントされませんので、また一から年数を積みなおすことになります。
しかし45歳で転職した場合、退職金の額が上がり始める前に定年となり、またしても少ない額の退職金しかもらえないという計算なんです。
「ベスト退職時期」をみつけよう
あれっ、なんか転職すると損かな…と思い始めたなら、転職時期について考えてみましょう。
このまま現状維持すべきか、退職後の仕事も視野に入れてそろそろ動き出すべきか…。
ベストチョイスは人それぞれ! しかし、長く元気に働きたいというのは多くの人に共通する願いです。
いろいろな条件を加味しながら、「働く一生」についてトータルに考えていきましょう!
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