
良書。読みやすいということは、ほんとうに素晴らしいことだ。
ジェントロジーで学ぶ40代、50代からの働き方
- 歳をとっても伸びる能力がある
- 「ジェロントロジー」をビジネスに生かす
- 「任せる」「断る」で結晶性能力を伸ばす
- 人生後半からの結晶性能力開発
70歳になっても働く時代が到来! 長くやりがいを持って働けるようにするために、 40代、50代からの能力開発法を伝授
人生百年時代を迎え元気にシニアが増えるとともに、「老後資金2000万円問題」に象徴されるように、豊かな老後を築くための収入確保などが大きな課題となりつつあります。
もはや多くのビジネスパーソンにとって65歳まで働く、あるいは70歳を超えても働くことが当たり前になりつつあります。そこで問題になるのは「各人が自分の能力を生かして、いかにやりがいを持って働き続けられるようになるか」です。
役職定年後で肩書きを失った途端、誰でもできる簡単な仕事しか回されなくなった。定年後、再雇用されたものの職場に居場所がなく孤立している--。そんな「ああなりたくない」元上司や先輩を身近に見てきた40代、50代のビジネスパーソンにとっては、特に切実な問題でしょう。
そこで本書でご紹介するのがジェロントロジーの活用です。ジェロントロジーとは医学、生理学、社会学、心理学など様々な学術分野を横断的にカバーする学際的な学問です。エイジングに伴う生涯発達や高齢化社会における生活、人間関係、心や健康の管理、老人介護や諸制度・政策、経済などの問題を多角的な側面からとらえ総合的に研究しています。
特に注目したいのが結晶性能力です。ジェロントロジーによると人間の能力には2種類あります。比較的若い頃から衰え始める流動性能力に対して、洞察力や創造力といった結晶性能力は歳を取っても伸び続ける能力です。その結晶性能力を仕事や生活の中で鍛えていくことにより、豊かな未来が切り開けるようになります。
本書では結晶性能力を鍛える働き方、そして生き方を具体的に解説しました。すぐに試せるワークシートも多数収録しました。ぜひご活用ください。
冒頭13ページ、勝手に補足します。
読み始めてすぐ「うっ、胡散臭い」と思われかねないのが、「流動性知能と結晶性知能の加齢変化」図。

本書はこの図を「流動性能力は30歳から低下する・結晶性能力は50代半ばまで上昇する」と解説し、それを前提にして展開されますが、どう見ても「流動性能力は60歳あたりまで低下しない・結晶性能力は60代まで伸びていく」としか見えない。
持論を主張するために冒頭でムチャな解釈を展開したような印象を与えてしまっているので、勝手に補足します。様々な研究がなされていまして、「○○歳」とという年齢的な指標には諸説ありますが、流動性能力は年とともに低下・対して結晶性能力は長く伸ばせるというのが現在の定論です。
短めの読みモノ挙げておきますね:
というわけで、冒頭13ページ目で「うっ」となった方、そのまま読み進めていただいて大丈夫ですぞ。図の選択をちとミスっただけですwww
結晶性能力を伸ばして流動性能力を補う!
先ほど挙げた長寿科学振興財団HPの高齢期における知能の加齢変化から、流動性・結晶性能力の定義を拾ってみます:
流動性能力:
新しい環境に適応するために、新しい情報を獲得し、それを処理し、操作していく知能。具体的には、情報処理能力、直観力、暗記力、計算力など。
結晶性能力:
個人が長年にわたる経験、教育や学習などから獲得していく知能。言語理解力、洞察力、経験的判断力など。
筆者は、経験が知恵となり、結晶性能力として発揮される、としています。
残念ながら衰えていく流動性能力を、様々な知識と体験の積み重ねによって結晶性能力を育てることで補えば、我々は長く有意義に働くことができる。
経験の数を増やし、組み合わせのパターンを増やすことで、60歳を超えてもまだまだ自分の力を伸ばすことができる、と。スバラシイ!

勝手にもっと風呂敷を広げてみるなら、
スピードでは若手に叶わなくても、言語能力・理解力・洞察力においては中高年も負けてはいない。お互いの能力を補い合うことで、チームとしてよりよい仕事ができるはず。
高齢者予備軍である中高年。20年先の自分たちの活躍の場を、今から自分たちの手で開拓するつもりで、経験と知恵を着々と蓄えていきたいものです。
アンチエイジングとサクセスフルエイジング。

ジェントロジーは日本語でいうと老年学、ちょっとニュアンスが残念風味ですが、、、 老年学は、歳を重ねて豊かになる「サクセスフルエイジング」を目指します。
主に健康・美容で用いられる抗老化「アンチエイジング」とは対極の考え方ながら、両者をうまく取り入れて、カッコいいオッサン&オバサンズとして楽しんでほしいし、私もそうなりたいです。
最も強い者が生き残るのではなく、
チャールズ・ダーウィン
最も賢い者が生き延びるでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。
年齢とともに進化し続ける生き物でいこう。